さめがい水の宿駅 /遠藤秀平

鈴鹿山系霊仙山からもたらされる湧水にちなんだ施設で、敷地内には湧水が飲める
スポットが7ヶ所もあり、又湧水を使った食べ物屋もある。この、七ヶ所の湧水を繋ぐように
外部空間、半外部空間が連続していて、その過程で内部空間と視覚的に連続すること
で、建築に軽快なリズムと多彩な変化を作り出している。スバラシイ


 

駅と施設の共同駐車場から建物を見る。
醒井(さめがい)駅(写真右手)に隣接する敷地にこの建築は計画された訳だが、すばらしいのは、駅と下水道ポンプ場(僕が立ってる後ろ側)も同時にデザインしている事だ、ただ単に柱を既存の建物の前に立てて意匠上の外壁を立ててるだけだが、コルゲートが横波なのも手伝って、広がりのあるデザインとなっている。(まあ、当然余計なコストがかかっている訳だがこうありたいものである。)

 

 

 

 

エントランス部の階段

この建物には色んな半外部空間があります。この写真のように、化粧外壁と建物に囲まれた空間やピロティ空間、ほぼ室内のようだが風が抜けたり水が沸いてる空間等、建物の形態が作り出す様々な空間が連続する事で歩いていてとても楽しい建築になっています。

 

 

 

 

SHOPからエントランス部を望む

まあ特にどうって事ないですが、三角の吹き抜けから二階部分が見えたり、エントランス部分が見えたり、いろんな空間と上手く繋がっています。あと、四角い空間に慣れてしまっている僕達には空間の角度がちょっと違っただけで少し楽しくなるのは気のせいでしょうか?

 

 

 

 

廊下から展示室を見る

エントランス部の階段を登ると一階のショップに光を運ぶ吹き抜け越しに展示室が見えます。レースをかける事で一階と繋がりすぎず柔かい感じです。外部や各空間に対して、どのくらい繋がるのがいいのか?その時の表現方法は?この事に対してもう少しリアルに考えていかないといけないな〜と思う今日このごろです。

 

 

 

 

エントランスの階段を登って奥に向かう廊下

この建築のもう一つの特徴は写真のようにコーナーが直角ではない事です。135°か45°なのです。90°だと一旦流れが切れてしまう感じがするのですが、このように135°だと連続している感じがしてスムーズに奥まで導かれる感じです。逆に45°だと軸を強調する効果があるので、何かを強調するのに有効です。この2つの角度を上手く使ってこの建築は実に楽しいプランになっていると思います。ちなみに45°を使って駅の方に軸を取ってます。

 

 

 

 

外部劇場から建物(道路側)を振り返る

 
写真右手が道路なんですが、そちら側に対して木が並んで植えてあるのだが、その並木を建物の間の空間を実に上手く利用している。その空間にせり出したり、その空間を歩かせたとしているのだが、注目すべきはその空間の変化のリズムがいいのと、135°という角度を利用している為、次の空間に自然に変化していっているという事だ!目の前にある水平な壁はそこが次の空間であることをリアルに意識させる。当然用途的にはその方がいい場合も多いがこのような建物の場合その微妙な変化はとても楽しめる。

 

 

 

 

飲食場

 

写真左手にあるのが湧水ポイントです。建物のいたる所にあり、ますで忍者屋敷のポイント地点みたいで探したくなるぐらいです。この湧水が建物を楽しくしている事は間違いなく、そういったのもを上手くプランに生かしている遠藤氏もさすがといった感じです。

ただ良く解からないのが写真右手の飲食空間は完全に閉じない空間なのです。奥の方はひき違いドアがあるのですが、手前側にはドアがありません。冬場はどうするんだろう?
寒くてもいいという事なんだろうか?

 

 

 

 

外部劇場

 
この建物の終点はこの劇場空間です。まるでこの空間に導かれるような平面プランですがとても優しい感じの空間になっています。shopの吹き抜けでも使っていた布が天井一面に掛けられていて優しい光で空間が満たされていました。

今回(2004.5)初めて、遠藤秀平氏の建物を見学してきました。コルゲート?なにそれ、曲がっているからなんだつーの?
と思っていたので、そんなに遠藤氏に興味なかったのですが、この建物を見ていっぺんに好きになりました。

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