小屋組の比較

目的:各小屋組の比較検討

 

洋小屋

トラスで構成されているので、部材には軸力しか働かない為、部材のメンバーが小さくですむし (ただ、合掌と方杖の交点以外に母屋が乗る時は曲げやせん断力も働く) 変形もなくとても丈夫な感じでした。交点の接合部さえしっかり出来れば、合理的で丈夫な屋根になる。何故、日本の屋根はこの工法が少ないのだろうか?まあ、どの工法にも言える事だが、どんな優れた工法も優れた職人無しにはいいものにはならない。ラーメン屋のカレーは不味いのである。しかし、最近はプレカット(工場加工)が普及し、組み立てるだけの為、品質は安定してきている。金物で材木を接合する工法も増えてきている。

 

 

 

和小屋

大半の在来工法の屋根はこの方式を現在とっている。束からの荷重で梁に大きな曲げが発生しているのがわかる。ゆえに、昔の家なんかは、この部材に大きな丸太が使われていたりする。
ここで注目すべきは屋根面と梁面がピンなら他にずれようが無いのでいちよトラスと言える事から、例えば屋根面をツーバイにして強度を高め転び止で梁と垂木をそれなりに止めれば、梁に軸力が作用する事になり有利である。(*束から流れる力は曲げで対応するしかないのでトラスでは当然ない)

 

 

 

さす組(合掌造)

基本的にトラスだが、一番下の部分はトラスになっていないので曲げが発生する。(いちよサスの上受け材あるのでトラスと言えばトラスだが・・)茅葺屋根によく見られる工法である。水平梁は床を構成する時に都合がよく、屋根裏を利用する時には有効な工法である。

 

さらに荷重を加えると、最下部のさすに曲げが発生しているのが解かる。こうなってくるといろんな所に応力が発生してくるので、変形しないようサスの受け材はしっかりしたものにしたい)

 

水平方向に力を加える(風を想定)と当然曲げ、せん断応力が発生する。

 

白川郷

上の合掌造の屋根の集落で有名である。
豪雪地方なので(2Mぐらいは積もります)屋根に雪が積もらないように急勾配になっている。又、そうして作られた屋根裏空間は、蚕を養殖したり、使用人(何十人も)の部屋、物置として利用される。さらに、一階部の囲炉裏の煙が縄を燻し、丈夫なものとしている。(かなり、煙たくて目に染みますが・・・)

 

勾配がキツイので風が吹けば、大きな水平力がかかる事になるので、さす(屋根柱)が太い・・・のかな?垂直荷重の方は屋根に雪も載らないし、大した事ないような気がします。

 
トラスで重要なのは接合部です。ここがしっかりピンじゃないと架構に軸力以外の応力が掛かる事になるので重要なポイントです。縄だけに生命線というやつです。
 

注目すべきは、足元がただ梁にのっているだけなんですね〜驚きです。水平力と受ける為に、づれ止めが梁の上に載ってますが、この巨大な屋根の水平力を受けるのに、これだけでいいのって感じです。こちら側には風はあまり吹きつけないのでしょうか?

 

アトガキ

日本の住宅の何処がおかしいって、やっぱ屋根裏の利用率の低さでしょう!
大きな家の大きな屋根裏は、せいぜい使いづらい物置にしかなってない家がほとんどでしょう!
断熱材がなかった頃は、屋根裏は大きな断熱装置だったのかもしれないが・・・
設計者としてはなんとかここを上手く使って行きたいと思う訳である。
登り梁にすれが、天井が高く取れます。部材数が増えるので、やや高つきますが・・ご検討下さい。

 

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