ファンズワース邸と数奇屋建築

 

 

言わずと知れたミースの代表作ですが、この住宅は数奇屋建築に似ていると思いませんか?床が地面から高く上がり、繊細な構造のみ存在し、外部との繋がりを大切にしている・・・まさに数奇屋の建築要素を近代建築の建築言語で書き直した建築のように見えます。
でもよくよく考えると全然違う建築なのです。地面から高く上がった床は、湿気を防ぐ為のものではなく、一見外部と一つになっている空間はガラスによって完全に仕切られて、室内空間として確立しています。
ガラスを引き違い窓、もしくは引戸にすればもっと全体的に外部と密接して、似たような性質をもつ何の用途があるのか判断しにくい日本建築っぽくなるのですが、このプランはとても明確な用度をはっきり主張した建築となっています。

 

 

このくそ寒い日本で何故障子一枚しか外部にもうけないんだ。一つは室内照度の問題があるだろううが、いつ敵に襲われるか解からない時代に、このセキュリティの低さはなんだ、時代劇で金さんが刀を振り回して縦横無尽に建物の中を走り回る。なんか変じゃありませんか?そんなに夏が暑かったのでしょうか。

 

 

利家とまつを見ていると、ビックリするようなシーンがいっぱい出てきます。雪が降ってるのに障子は開けっぱなしで縁側で酒を酌み交わす。意味不明ではありますが、自然を限りなく建築に取り込んでいる姿がそこにはあります。障子、襖を全部はずすと室内の意味がカラッポになる様な建築が一世紀もの間ほとんど姿を変えず存在してたなんて・・・

 

 

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